椿 読書録

読書とその他楽しみの記録です。

2021-01-01から1年間の記事一覧

<本>街角には物語が・・・ 高楼方子

城壁に囲まれ、街並みには古い時代の面影を残し、観光客もやってくる「旧市街」。 その旧市街の中で暮らす人々の物語・・・。 古い街並みを舞台に、1話ごとに主人公が変わる連作。 舞台は共通してる(通りの名前やお店の名前とか出てくる)けど、人物はほと…

<本>歩道橋シネマ 恩田陸

恩田陸さんが定期的に出している「ノン・シリーズ短編集」。 あとがきにも書いてあるけど、直木賞や本屋大賞の受賞で発行の間が空いたのかな? あとがきで作品解説をしてくれているので嬉しい。掲載誌や執筆の事情なども分かるので。 「球根」 『チューリッ…

<本>凶鳥の黒影 中井英夫へ捧げるオマージュ

『虚無への供物』&作者の中井英夫に対するオマージュ小説&エッセイを収めた本。 中井英夫没後10年の企画だったのかな? こんな企画本が出ていたとは知らなかったので、読むのがすっかり遅くなってしまいました。 小説もエッセイも「中井英夫」テイストにあ…

<本>作家の人たち 倉知淳

「作家と編集者、出版社」をテーマにしたブラックショート小説集。 自虐的な寡作ミステリ作家ネタが出てきたり、出版界の内側暴露?的なネタがあったり。 これはあの人だろうなー、と思わせるもじった作家名や出版社名ににやにやしてると、急に実名が出てき…

<本>森見登美彦の京都ぐるぐる案内

森見登美彦作品の舞台や関連する場所などを集めた、京都ガイドブック。 森見作品によく出てくる京都大学や下鴨神社、鞍馬山のあたりって、私はほとんど行ったことのないエリアだったので、写真と地図で図解されてて理解が深まりました。 ちょっと残念だった…

<本>わたしがデビューした頃 ミステリ作家51人のはじまり(東京創元社)

ミステリ作家のデビューにまつわるエッセイ。 辻真先御大から始まって、デビュー時代順に並んでいるのが、時代の移り変わりも感じさせて面白い。 デビュー作の書影もカラー口絵でついていて、デザインや色使いに時代を感じます。 倉知淳さんのデビュー顛末を…

<本>蚕の城 馬場明子

ノンフィクション。 筆者の馬場さんはもともと九州放送のディレクターだったらしく、九州関連のノンフィクションをよく書かれてるみたいです。 これは九州大学の蚕の「系統保存」を中心に、明治~昭和の養蚕と蚕の研究をまとめたもの。 明治時代の養蚕は一大…

<本>おしゃべりな銀座 銀座百点編

タウン誌「銀座百点」に掲載されたエッセイをまとめたもの。 岡田茉莉子さんや金子國義さんの描く昭和の銀座の思い出話は華やかで羨ましい。 朝井リョウさんとかが銀座百点に載っている!というのは新鮮なおどろき。 ジェーン・スーさんのエッセイが胸に迫る…

<本>月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言 倉知淳

猫丸先輩シリーズ、久々の新刊。 東京創元社では「猫丸先輩、飄々の帰還!」というコピーを掲げてて、「飄々」ってとこが猫丸先輩だな、と笑いました。「堂々の帰還」じゃないのね。 今回の表紙絵はオオタガキフミさんというイラストレーター。 猫丸先輩と言…

<本>「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出 角野栄子

角野栄子さんの今までいろんなところで発表したらしきエッセイをまとめたもの。 角野さんが保管してた原稿が元らしく、発表場所・時期が明記してないものもたくさん。 いつの時代か、というのが結構重要になってくると思うので、できれば知りたかったなー。 …

<雑誌>Feel Love vol.8 特集・森見登美彦 拝啓太宰治さま(2010年・祥伝社ムック)

たまたま見つけた『Feel Love』で森見登美彦特集が組まれていたので。 太宰治生誕100周年記念、とのことだけど、『Feel Love』って恋愛小説に特化した文芸誌じゃなかった?と思いましたが、『新釈 走れメロス』が祥伝社から発売される、そのプロモーションを…

<本>新釈 走れメロス他四編 森見登美彦

再読。 日本文学の名作を「森見流」に換骨奪胎して書き直した5編の物語。 面白かった。 各作品の登場人物たちがちょっとずつ交差しているあたりも好き。 私は「山月記」がすごく好きなのでどうなるかな、と思ってたんだけど、「自意識・自尊心の高さ」が上…

<本>ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集 森見登美彦

文字通り森見登美彦さんの対談集。 14人の人と対談してます。 いわゆる芸能人な、劇団ひとり、本上まなみ、漫画家の羽海野チカ、同業の小説家・・・。 ウミノ先生はもともと好きだし、『夜は短し歩けよ乙女』の文庫版解説(イラストで)も面白かったので、読…

<本>奇譚を売る店 芦辺拓

「ーまた、買ってしまった。」 すべてこの言葉から始まる6編の物語。 精神病院のパンフレット、映画にまつわる資料の綴り、古本屋で買い求めたものたちから始まる奇譚・・・。 古風な本のつくり、活版印刷のようなフォント、表紙と扉絵に配されたゴシックと…

<本>殺人鬼がもう一人 若竹七海

若竹七海さんの作風はちょっと肌に合わなくて避けていたのだけど、読書ブログを見て面白そうだなー、とチャレンジ。 結果、面白かったです! 「全員、悪人」を地で行く話。 警察官や善良な市民の顔をしながら、しれっと悪いことをやってのける人たちばかり。…

<本>中野のお父さんは謎を解くか 北村薫

『中野のお父さん』続編。 前回は各編のタイトルが「漢字1文字+ひらがな1文字+漢字2文字」で揃えられてたけど、今回は「縦か横か」や「水源地はどこか」など問いかけで統一。 題名もそれに揃えたのかな。 相変わらず桝田ミリさんのイラストが良いです。…

<本>夜行 森見登美彦

10年前、鞍馬の火祭りの夜、仲間の一人の女性が消えた。 そして10年後の今日、また仲間たちが集まった。 仲間たちはそれぞれの旅の思い出を、旅の「夜行」を語りだす・・・。 それぞれの旅の語りのパートは怖かった! 「裏森見」を感じました。 それだけに、…

<本>ゆるキャラの恐怖ー桑潟准教授のスタイリッシュな生活3ー 奥泉光

クワコーシリーズ。 ミステリーの形を取っているけど、これはミステリーではないのだろうな、と思う。 シリーズ最初の『モーダルな事象』は本格ミステリ・マスターズの1冊ではあるけど、あのシリーズには恩田陸の『夏の名残の薔薇』とかもあるしな(大好き…

<本>傘をもたない蟻たちは 加藤シゲアキ

加藤シゲアキ作品は『できることならスティードで』を読んだだけで、本格的な小説は初めて。 これは作者初の短編集、だそう。 青春ものあり、ちょっとしたSFあり、とバラエティに富んでて楽しく読めました。 1編以外はセックス描写があるのは意図されたもの…

<本>君に読ませたいミステリがあるんだ 東川篤哉

恋ヶ窪学園シリーズだ!と思ったけど、あのシリーズは「恋ヶ窪学園探偵部」らしい。 これは文芸部が舞台なので、番外編というべき? 文芸部部長の水崎アンナに、美少女・水咲アンナが探偵役の学園ミステリを読まされる僕、という展開。 作中作ミステリで、こ…

<本>中野のお父さん 北村薫

編集者の娘と博学な父、疑問や謎が浮かぶ度に中野の実家に帰って「お父さん」に相談すると見事な答えが・・・。 『中野のお父さん』というタイトルだと、自分の父親を指してる感じがしないので、何か意味があるのかと思っていたんですが、ふつうに実家の自分…

<本>きつねのはなし 森見登美彦

『熱帯』に出てきた「芳蓮堂」が登場する、というので読んでみましたが・・・、怖かったー! もともと『きつねのはなし』は怖い、と聞いていたので怖がりの私は敬遠し、『夜は短し歩けよ乙女』とか『有頂天家族』とかの「楽しいお気楽ふしぎな京都」話系ばか…

<本>インド倶楽部の謎 有栖川有栖

作家アリスシリーズ、国名シリーズ。 神戸の街が舞台になっており、紀行ものっぽさもある。 異人館にトアロード、港に南京町・・・。 神戸に行きたくなってしまった。 それぞれの位置関係が分かるように、神戸の地図を付けてくれてるとよかったなー。 「うみ…

<本>サーチライトと誘蛾灯 櫻田智也

作者の櫻田智也さんを知ったのは「デイリーポータルZ」のライターとしてだった。 新規記事を見かけなくなってから数年、突然デイリーポータルZに「ミステリ作家として受賞」という記事があって、ミステリ作家に転身されていたことを知ったのである。 その第…

<本>熱帯 森見登美彦

私ー奈良に住む作家「森見」ーは、『千一夜物語』を読んでいるうちに、学生時代に読んだ本『熱帯』を思い出す。 上京の際に参加した「沈黙読書会」でその『熱帯』を持つ女性を発見するが、「この本を読み終わったものはいない」と謎の言葉を告げられる。 そ…

<本>豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件 倉知淳

「冷蔵庫が空になるまで仕事をしない」と言われるミステリ作家、倉知淳。 しかししばらくチェックしてなかった間にばんばん新刊が出てた・・・! 嬉しいような、怠っていた自分を責めたいような複雑な気持ち。 <ネタバレ> 一部のみ感想。 「変奏曲・ABCの…

<本>出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 花田百々子

発売された時、本屋の店頭でタイトルを見て「出会い系」って・・・、とちょっと引いてしまい、手に取らずにいた。 しかし今回読んでみたらとても面白かった! 本屋の店長である筆者は夫とうまくいかなくなって離婚を決意。 かつては楽しかった仕事も、会社全…