<本>中野のお父さんは謎を解くか 北村薫
『中野のお父さん』続編。
前回は各編のタイトルが「漢字1文字+ひらがな1文字+漢字2文字」で揃えられてたけど、今回は「縦か横か」や「水源地はどこか」など問いかけで統一。
題名もそれに揃えたのかな。
相変わらず桝田ミリさんのイラストが良いです。
<ネタバレ>
「ガスコン兵はどこから来たか」が面白かった。
今はインターネットで検索すれば知らない言葉でも出典が判ったりするけど(分からない場合ももちろんある)、ひと昔前は経験というか教養というか、偶然の出会いとかで見つけるしかなかった時もあったんだよね・・・。
しかし太宰の文体すごい。現代的というか、現代を超越してるというか。
「縦か横か」
雑誌の投稿が元ネタ、しかし見つけられなかった、とのことですが、小説化されたことで手がかりが発見されたりしないかな?
「火鉢は飛び越えられたのか」、時間経過とともに話は「盛られて」いくものだ、ということで、人の心理はいつの時代も同じ・・・、と、面白かったのですが、これに限らず「文芸の謎」ものは、小説というかたちにしなくてもいいんじゃないかと思った。
北村さん自身が探偵役として、文芸の謎を解いていく記録(エッセイ)という形式でいいんじゃないだろうか。
「文芸探偵」なんて恰好いいじゃないですか!
この話にしても発端は米澤穂信さんの講演会での発言がきっかけだったみたいだし、むりやり小説中に「現在活躍中の作家さんが~」とか出すより、実名でエッセイの方が面白いと思うのですがどうでしょう。