<本>歩道橋シネマ 恩田陸
恩田陸さんが定期的に出している「ノン・シリーズ短編集」。
あとがきにも書いてあるけど、直木賞や本屋大賞の受賞で発行の間が空いたのかな?
あとがきで作品解説をしてくれているので嬉しい。掲載誌や執筆の事情なども分かるので。
「球根」
『チューリップ回路』なる長編(まだ書かれてない)のスピンオフということだけど・・・、学園の設定を見て(恩田作品だなー!)と思いました。
たしか『三月は深き紅の淵を』にマンガ『聖アリス帝国』の話が出てくるけど、ずーっとそういう世界観(学校観)が基本にあるんだなー。
「悪い春」
妙なリアリティがあって怖い。「複数の、ティーンエイジャーの子を持つ親から『現実になりそうで怖い』と言われた」とあとがきにもある通り、こういう状況を淡々と書く恩田さんの筆致は怖い。『東京の春』を思い出す。
「麦の海に浮かぶ檻」
『麦の海に浮かぶ果実』のスピンオフ。
『麦の海に~』シリーズは番外編が多いなー。設定として番外編が書きやすいんでしょうね。
新本格30周年記念で書かれたそうで、ミステリのタネとしては正直弱い気がするけど、恩田作品はミステリではなく「世界」を楽しむ小説なのだと思う。
表紙のジャンクションの写真が印象的だな、と思ったら、デイリーポータルZのライター大山顕さんの写真だった!
カバーと表紙で写真を変えてる・・・。
中表紙もトレーシングペーパーの裏側に印刷したり、装丁が凝ってるなー。