<本>奇譚を売る店 芦辺拓
「ーまた、買ってしまった。」
すべてこの言葉から始まる6編の物語。
精神病院のパンフレット、映画にまつわる資料の綴り、古本屋で買い求めたものたちから始まる奇譚・・・。
古風な本のつくり、活版印刷のようなフォント、表紙と扉絵に配されたゴシックとユーモアがいい感じに配分されたひらいたかこさんのイラスト(エドワード・ゴーリーみたい)。
話と本の作りがすごく雰囲気が合っています。
単行本で読んだのだけど、文庫版も世界観に合ったつくりになっているらしい。チェックしてみようっと。
語り手は作者本人らしき作家で、もちろんフィクションですが、「大学のミステリ・サークルから筆記アンケートが来たら、やけに熱心に答えて、収録の見込みのない小説とか提供しちゃう」とか、「古本屋の主人の態度に嫌気がさし、古本屋で買い集めたものでも、手放すときには新古書店に売る」とか、実感のこもった記載にうんうん、と思いました(苦笑)
<ネタバレ>
「青髭城殺人事件 映画化関係綴」
不老不死のまま生き続ける美少女、というモチーフが好きなので、このお話ツボでした。
「薔子」という名前もきれい。
そして思わぬオチでしたが納得。
しかし「浦戸(ウラド)」かと思ったよ・・・。