<本>豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件 倉知淳
「冷蔵庫が空になるまで仕事をしない」と言われるミステリ作家、倉知淳。
しかししばらくチェックしてなかった間にばんばん新刊が出てた・・・!
嬉しいような、怠っていた自分を責めたいような複雑な気持ち。
<ネタバレ>
一部のみ感想。
「変奏曲・ABCの殺人」
淡々と書かれていく倒叙形式、と思いきや、加害者(仕掛ける)側がぐるりと被害者側へと反転してゆくラストがあざやか。
「夜を見る猫」
猫というものは何もない虚空をじっと見つめることが多いらしいので、それを事件に結び付けるのはちょっとムリがないか・・・?と思ってしまった。
一見平凡な風景から驚きの事実へ、という泡坂妻夫的な展開と、ほのぼのとした雰囲気のラストが倉知作品っぽい。
「豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件」
表題作にして問題作(笑)
バカミスというやつなのだろうか、これは・・・。
しかし時代背景が合っていて(というかこれしかないというか)、最後に漂ううすら寒いというか暗澹たる気持ちはなかなか小説としてよかった。
とはいえ、鍵のトリックの説明があれだけというのはちょっとルール違反では、という気もする。
「猫丸先輩の出張」
待ってました、猫丸先輩!
内容の割にちょっと長くて、中だるみしてしまいそうなところも正直あったけど、キャラクター描写とか、ドタバタの中に張られた伏線とか、いかにも、といった感じ。
いくら目撃者が多いほうがいいからと言っても、わけのわからん着ぐるみの入室をふつうに許可はしないだろうけど、そこらへんがすんなり読めちゃうのが倉知作品のユーモアだよなー。